リーチフォークリフトとカウンター式の違い|操作方法・旋回半径・難易度を徹底比較

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倉庫内に並んだリーチ式フォークリフトとカウンター式フォークリフトの比較

フォークリフトにはいくつかの種類がありますが、全国の工場や物流倉庫で使われている車体の大部分は「カウンターバランス式(カウンターフォークリフト)」と「リーチ式(リーチフォークリフト)」の2種類です。

この記事では、厚生労働省のフォークリフト技能講習補助テキスト(PDF、以下「教材」)とメーカー公式カタログの寸法データをもとに、両者の構造・操作方法・旋回性能・難易度の違いを徹底比較します。

カウンターバランス式とリーチ式の違い早見表

構造・車種の比較カウンターバランス式とリーチ式の構造・特徴の徹底比較どちらも「フォークリフト運転技能講習」1つで両方運転できます(専用免許は不要)
① カウンターバランス式(座って運転・屋外やトラック荷役に強い)
着座シート(座ってペダル操作)後部カウンタウエイト(重り)前輪:駆動・荷重支持後輪:かじ取り(後輪操舵)
  • 釣り合いの仕組み:車体後部の重いカウンタウエイト(おもり)で前の荷とバランスをとる(2.5t車だと車体自重は約4t)
  • 走行性能:タイヤが大きく段差・傾斜・悪路に強い。屋外ヤードやトラック荷台への積み下ろしの主力
  • 教習所の実技:ほとんどの登録教習機関はこのカウンター式で実技試験を行う
② リーチ式(立って運転・マストが前後に動き狭い倉庫に強い)
← マストが前後に動く! →立ち乗り運転台前方に張り出したリーチレッグ足を離すと効くブレーキ
  • 釣り合いの仕組み:前に張り出した脚(リーチレッグ)の上へマストごと荷を引き込んで安定させる
  • 抜群の小回り:車体が短く後輪がほぼ真横まで切れるため、屋内倉庫の狭い通路や高いラック棚入れに最強
  • 操作の特徴:立って運転し、左足のペダルは「踏むと解除・足を離すとブレーキがかかる(デッドマンブレーキ)」
後部のおもりで釣り合いをとるカウンター式と、前方のリーチレッグ上にマストを引き込むリーチ式

まずは1.5トンクラスの標準車を例に、カウンター式とリーチ式の違いを表で比べます。

比較項目 カウンターバランス式 リーチ式(プラッター等)
運転姿勢 座って運転(着座式) 立って運転(立席式)
前後の釣り合い 車体後部の重い鉄塊(カウンタウエイト)で荷とバランスをとる 前方に張り出した2本の脚(リーチレッグ)の上に荷を引き込んで支える
マストの動き 上下昇降+前後傾(ティルト)。マスト自体は前後に移動しない 上下昇降+前後傾に加え、マスト全体が前後にスライド(リーチ)する
全長(1.5t車) 約 3,000〜3,180mm(フォーク込み) 約 2,010mm(フォーク引き込み時・約1m短い)
最小旋回半径(1.5t車) 約 1,850〜1,980mm 約 1,520mm(その場で回るように小回りがきく)
必要通路幅(直角積付) 約 3,500〜3,680mm 約 2,500〜2,700mm(狭い倉庫通路でも直角旋回できる)
自重(車両重量・1.5t車) 約 2,540〜2,855kg 約 2,040kg
主な動力 エンジン式(ディーゼル・ガソリン・LPG)およびバッテリー式 バッテリー式(電動)
タイヤの特徴 大径タイヤ(空気入りまたはノーパンク)。段差・傾斜・舗装の荒れた屋外に強い 小径のソリッドタイヤ(ウレタン・ゴム)。平らな屋内床面専用で段差や砂利道に弱い
アクセル・前進後退 右足のアクセルペダル+ハンドルの前後進レバー 右手の前後進レバー(兼アクセル)の倒し具合で速度と向きを調整
ブレーキの仕組み 右足でブレーキペダルを踏むと止まる(自動車と同じ) 左足のペダルから足を離す(戻す)と止まる(踏んでいる間だけ解除)
得意な現場 屋外ヤード、工場構内、大型トラックへのパレット積み下ろし、重量物運搬 屋内物流倉庫、食品・冷蔵倉庫、多段ラックへの棚入れ・ピッキング
必要な資格 1t以上:フォークリフト運転技能講習 / 1t未満:特別教育(両車種とも共通) 同左(共通)

出典:厚生労働省 教材 4・29・30ページ、ロジスネクスト公式カタログ(ERSIS・ALESIS・PLATTER、2026年確認)。トン数ごとの細かい寸法はフォークリフトの寸法と重さにまとめています。

構造とバランスの仕組みの違い

カウンターバランス式:後ろのおもり(ウエイト)で支えるシーソー構造

カウンターバランス式は、車体の前方にだけ爪(フォーク)が突き出しているため、重い荷を持ち上げると前輪を支点として前に倒れようとする力(モーメント)が働きます。

これに負けないよう、車体の後ろ側に分厚い鋳鉄製のおもり(カウンタウエイト)を搭載して前後の釣り合いをとっています(教材 4ページ)。そのため車体が長く重くなりますが、前輪に大きなタイヤを履けるため、屋外のアスファルトやスロープ、トラックの荷台横での作業で高い安定性を発揮します。

リーチ式:脚(リーチレッグ)の上へマストを引き込む省スペース構造

リーチ式は、車体の前方に「リーチレッグ(ストラドルアーム)」と呼ばれる2本の脚が前に伸びており、その先端に小さな前輪が付いています(教材 29ページ)。

  • 荷を取る瞬間だけ前に出す:パレットの手前で止まり、レバー操作でマスト(フォーク)だけを前へグッと押し出して(リーチアウト)荷をすくい上げます。
  • 走るときは手前に引き込む:荷を持ち上げたら、マストを手前に引き込んで(リーチイン)、前輪と後輪の間(ホイールベースの内側)に荷の重心を収めて走行します。

荷の重心が車輪の内側に入るため、後ろに巨大なカウンタウエイトを積む必要がなく、車体全長をカウンター式より約1メートルも短くできるのが最大の強みです。倉庫のラック(棚)とラックの間の通路幅を2.5〜2.8m程度まで狭くしても直角に曲がって荷を出し入れできるため、地価や保管効率を重視する物流倉庫ではリーチ式が圧倒的なシェアを持っています。

リーチ式の操作で初心者がつまずきやすい3つの壁とコツ

教習所でカウンター式に乗って修了証を取った人が、初めて現場でリーチ式に乗ったときに戸惑いやすいポイントは次の3つです(教材 29〜30ページ)。

1. 左足のブレーキペダルが「踏むと解除・離すとブレーキ」

自動車やカウンター式は「ペダルを踏むと止まる」仕組みですが、リーチ式の左足ペダルはデッドマンブレーキ(踏んでいる間だけブレーキが解除され、足を離す・浮かすとブレーキがかかる)になっています。

  • なぜ逆なのか?:立って運転するリーチ式で、万が一運転者がバランスを崩したり車外へ落ちそうになったりした際、足がペダルから離れた瞬間に自動で急停止して事故を防ぐ安全設計です。
  • 慣れるコツ:停止するときに反射的に左足を強く踏み込むとブレーキが解除されたままになってしまいます。最初は広い場所で「止まるときは右手の前後進レバーを中立(N)に戻し、左足のかかとをつけたままつま先をスッと上げる」動作を反復練習しましょう。

2. 右手1本で「前進・後退の向き」と「速度」を同時に調整する

カウンター式には足元のアクセルペダルがありますが、リーチ式にはアクセルペダルがありません。運転台右側の前後進レバー(ドライブレバー)を前に倒すと前進、手前に引くと後退になり、倒す角度がそのままアクセル(速度調整)になります。

最初はレバーを大きく倒しすぎて急発進しやすいため、指先でミリ単位で少しずつ倒す(微速走行する)感覚をつかむのが上達の近道です。

3. 後輪がほぼ真横(90度近く)まで切れるため、後ろが大きく回る

リーチ式は左手で小さな丸いハンドル(スピンナーノブ)をクルクル回して操舵します。カウンター式以上に後輪の切れ角が大きいため、ハンドルを回しすぎるとその場でコマのように急旋回します。

  • 注意点:リーチ式は背が高く車幅がコンパクトで、タイヤも硬い小径ソリッドタイヤのため、荷を上げたまま・あるいはマストを前に出したまま速度を出して曲がると横転しやすい特性があります(教材 30ページ)。
  • 鉄則:必ず「マストを手前に引き込み、フォークを床から15〜20cmに下げ、十分に減速してから曲がる」を徹底してください。

学科試験で狙われる「カウンター式とリーチ式」の出題ポイント

技能講習の学科試験や実技試験でも、両車種の構造や安定度の違いはよく問われます。その場で1問チェックしてみましょう!

求人選びと面接での伝え方(未経験からリーチ倉庫へ入る場合)

物流センター(常温倉庫・冷蔵冷凍倉庫・EC倉庫・ドラッグストアや食品の配送センター)の求人では、「要フォークリフト免許(リーチ経験者優遇)」という募集が非常に多く見られます。

  • 教習所でカウンター式しか乗ったことがない場合:応募や面接で正直に「技能講習はカウンター式で修了したばかりですが、リーチ式のデッドマンブレーキやマスト操作の手順も予習しており、入社後の構内練習でいち早く習得します」と伝えれば、未経験可の倉庫求人なら十分採用されます。
  • 入社前にリーチ式を練習したい場合:登録教習機関や民間のフォークリフト教習センターの中には、修了証保持者向けに1日(数時間)のリーチフォークリフト実技練習講習を開いているところもあります(例:東西フォークリフト教習センターなど)。不安な人は1日練習してから現場に入ると自信を持ってスタートできます。

履歴書や職務経歴書での車種の書き方はフォークリフト免許の正式名称と履歴書の書き方、志望動機の例文はフォークリフトの志望動機と面接対策で詳しく紹介しています。

まとめ

  • 資格は共通:最大荷重1トン以上ならフォークリフト運転技能講習1つでカウンター式もリーチ式も運転できる
  • カウンターバランス式:座って運転し、後部のおもり(カウンタウエイト)で釣り合いをとる。屋外・段差・トラック積み下ろしに強い
  • リーチ式:立って運転し、マストを前後にスライドさせて脚(リーチレッグ)の上に荷を引き込む。屋内倉庫の狭い通路・高い棚入れに強い
  • リーチ操作の3大ポイント:①左足ペダルは踏むと解除・離すとブレーキ、②右手レバーで前後進と速度を微調整、③小回りが鋭いためマストを引き込み低速で旋回する

これから資格を取る人は、フォークリフト免許の取り方と費用(47都道府県一覧)からお近くの教習所を探せます。

よくある質問

リーチフォークリフトとカウンター式で必要な免許(資格)は違いますか?
違いません。どちらも最大荷重1トン以上なら「フォークリフト運転技能講習」、1トン未満なら「フォークリフト特別教育」の1つで両方とも運転できます。「リーチ限定免許」のような区分はありません。
リーチ式とカウンター式はどちらが運転しやすいですか?
自動車の運転に慣れている人にとっては、座ってペダルとハンドルを操作するカウンター式のほうが最初は直感的に動かしやすいと感じることが多いです。一方、リーチ式は左足のブレーキ(踏むと解除・離すと制動)や後輪が真横まで切れる鋭い旋回に少し慣れが必要ですが、慣れると狭い倉庫内で圧倒的に小回りがきいて扱いやすくなります。
教習所の実技講習はリーチ式とカウンター式のどちらで行われますか?
全国のほとんどの登録教習機関では、実技講習と実技試験を「カウンターバランス式(1.5t〜2tクラス)」で行います。修了後にリーチ式の職場へ入る場合は、入社後の構内練習や、教習所が実施しているペーパードライバー・リーチ実技講習を活用すると安心です。
リーチフォークリフトのブレーキはどうやってかけますか?
左足で踏んでいるブレーキペダル(デッドマンブレーキ)を「上に戻す(足を浮かせる)」とブレーキがかかります。自動車とは逆に、踏んでいる間だけブレーキが解除されて走れる仕組みです。